キャリアは階段じゃない、次元だ──新任執行役員が挑む“100人の壁”の越え方
2026.07.16- インタビュー
設立5年目を迎え、組織として次のフェーズに突入したヘッドウォータースコンサルティング(HWC)。いま当社が直面しているのは、事業拡大だけではない、「組織の質」を問われる“100人の壁”です。
その最前線で舵を握るのが、当社親会社のヘッドウォータース(HWS)の創業期、および当社の創業期という混沌とした時期を経験してきた20代役員・澁谷昂洋。順風満帆とは言えなかった創業期の組織の中で、自らも「何をしてもうまく行かない」から出発し、考え方を改め、積み上げ、今に至りました。
「フェアであること」「情熱を持ち続けること」。シンプルな言葉の奥に込められた思いはどのようなものなのか。現場と経営の両方を知る澁谷から、リアルな成長と組織論を聞きました。
プロフィール
澁谷昂洋(しぶや こうよう)
2016年に株式会社ヘッドウォータースへ入社。エンジニアとしてロボット事業に従事。2019年社内異動でコンサルタントとなり、2020年にサブリーダーに。2022年ヘッドウォータースコンサルティングの設立に伴い転籍しリーダーとなる。翌年部長となり、2026年より現職。
「フェアで情熱的」なカルチャーに惹かれて
──まずは自己紹介代わりに、澁谷さんの現在のお仕事について教えてください。
2026年から、執行役員 兼 コンサルティング事業部長を務めています。
端的に言うと、お客様の変革を支援するチームを作り・洗練させ、業績を達成していく仕事ですね。
業績についても、いわゆる「数字だけを追う」ようになって行っては本質的ではない。お客様から「価値あり」とご判断いただいたものの総量が、当社視点での「売上」になると考えているので、自分は「提供価値と対価のバランスを整える責任者」と解釈できると思っています。そうした責任を担いながら、事業をどう伸ばすか、組織をどう強くするかを考えています。
事業としては、AI・データ基盤、ローコード・ノーコードといった手段としての技術領域を軸に、お客様の業務プロセスやビジネスそのものを変えることが具体的な支援内容です。
部署は6つほどあって、金融や製造といった業界に深く入るチームと、Fabric・DatabricksやGitHub、Power Platformといったソリューションを武器にするチーム、アライアンスを推進するチームがあります。単に「システムを作って納品する」だけではなく、「お客様と一緒にビジネスを作っていく」。そこが一番大事なポイントですね。

──澁谷さんは、最初は当社親会社のHWSに入社したとのことですが、入社の決め手は何だったのでしょうか。
一言でいうと、「フェアで情熱的」だったことです。
最初の面接で、HWS社長の篠田さんに「何ができるのか示せ」とストレートに言われたんですよ。まだ何も知らない若造には、正直、厳しいなと思いました。でも同時に、そう話す篠田さんの目線がすごくフラットだったんです。変に持ち上げることもないし、逆に上から押さえつける感じもない。「社会人としての重要なスタンスをシンプルに示してくれた」と思えたんですよね。
──篠田さんらしいですね。
当時から篠田さんのキャラクターは全くブレていないんです。ただ、入社したタイミングは最悪でした(笑)。創業期のカオス状態の中で、会社として一番業績が落ち込んでいた時期でもあり、社内の空気がピリピリしていて、毎月のように人が辞めていく。
でもその中で残っている人たちは、本当に強かった。個人として自立していて、厳しいことも言い合う。でも根本にあるのは「フェアであること」なんですよね。その経験があったからこそ、この会社の本質はそこにあると、今でも確信しています。
「納得できないことはやりたくない」。頑なだった価値観が根本から変わった
──キャリアのスタートはエンジニアだったと伺いました。
はい、最初はエンジニアとして働き始めました。ただ、実際にエンジニアとして稼働していたのは半年くらいです。その後、当時担当していた「Pepperくん」開発事業の縮小に伴って、コンサルティングチームに異動しました。
正直「なんで自分が?」と思いましたし、最初は全然向いてないと思っていました。コンサルのスキルって何ですか、と人に聞いたら「ドキュメント作成」と言われて、「絶対向いてないな」って(笑)。

──随分ざっくりした回答ですね(笑)。
でもやっていく中で分かったのは、本質はそこではない、ということです。重要なのは、ものごとの本質的な問いをし、仮説を立てて、構造化して、提案する、物事が変わるまで泥臭く取り組む。むしろそっちが本質だった。
僕はもともと、「納得できないとなかなか仕事がはかどらない」タイプなんです。エンジニアの時は、なぜその機能を作るのかが腹落ちしないと、全然気持ちが入らなかった。でもコンサルタントは上流から関われるので、「なぜそれをやるのか」が分かる。そこが自分には合っていたと思います。
──2022年にHWSからコンサルティング部門が独立して当社が誕生しました。コンサルタントとして働く中で、ご自身の価値観はどのように変わっていきましたか。
一番大きかったのは、「いまの自分の価値観では勝てない」と気づいたことです。
最初の2年間、本当に結果が出なかったんですよ。自分なりに考えて提案しても通らない。その時に気づいたのは、「社会での価値を決めるのは自分じゃない」ということでした。
お客様や周りの人がどう評価するか、それがベースで自分らしさや付加価値は後なんですよね。そこで一度、自分の考えを全部捨てました。お客様の言うこと、上司の言うことを一旦100%で受け止め、取り入れる。徹底的にやったんです。
そのベースができてから、初めて自分の意見が通るようになった。今振り返ると、あの時期がなかったら何も積み上がっていないですね。
──かなり大きな転換ですね。
そうですね。学生の頃なんて、イベントも嫌い、協調性もない典型的な個人主義でした。でも社会に出ると、それでは通用しない。評価されないという現実を突きつけられて、やっと変われたという感じです。
キャリアは「階段」ではない。「次元」を上げるチャレンジ。
──これまでのキャリアで、最もきつかった経験は何ですか。
ひとつを選べないくらい、たくさんあります(笑)。分かりやすいのは、1人で複数プロジェクトのPMをやっていた時期で、これは単純に、物理的にきつかった。あと寂しかった。
ただ、個人的に一番インパクトが大きかったのは、プレイヤーからマネージャーに上がった時です。自分でやればもっとできるのに、それを人に任せて成果を出さなくてはいけない。そのジレンマが苦しかったです。結局、マネージャーになるということは、「自分でやる」から「人に動いてもらい、1人分以上の成果を出す」に変わることなので、そこで一度大きな壁にぶつかりました。

──現在は役員としてさらに次のフェーズにいます。
僕は、キャリアは階段じゃないと思っているんです。一段ずつ上がるものではなくて、「次元」が変わるもの。メンバーの次元、マネージャーの次元、事業責任者の次元、役員の次元。それぞれ全く違う世界です。
今の自分は、まさにその「次元を上げる」途中ですね。役割としては役員になっていますが、思考や行動が完全に変わりきっているかというと、まだ道半ばです。それをどう体現できるかが、今の一番のチャレンジです。
これからの組織の成長を牽引するために
──いまちょうど、会社が100人を超えつつあるところですが、よく言われる「100人の壁」についてはどう捉えていますか。
重要なのは「再現性」だと思っています。個人の力で成り立っていた組織から、組織として戦える形に変えられるかどうか。
そのためには、各領域に「主体性」を持った人がどれだけいるかが重要です。誰かのやり方をなぞるのではなく、自分で考えて、動ける人。そして、それを言うだけではなく、自分自身がやり続けること。
組織が持つ「カルチャー」って言葉で強制するものではなくて、個人の行動が積み重なってできるものですよね。
──今後どんな組織を目指していきますか。
他社にはない価値を提供できる組織であり続けたいですね。社長の加藤さんも、会社の全体会議で話していましたが、「健やかに、強か(したたか)に」。僕はこの「強さ」を事業・サービスのコアとして育てていきたい。

──「健やか」よりも、先に「強かさ」だ、と。
先ほども触れましたが、まず他者に認められる強さがないと、会社としても個人としても健やかさは手に入らない。当たり前のことだけど、この順番が大事。過去の自分を含めて順番を間違えている人は一定数いると思うし、今後事業を伸ばしていくうえでの強さの再現性をどう型作って行くかが次のフェーズ。そこに皆でチャンレジしていきたいです。
それを単発ではなく、事業として成立させる強さと、カルチャーとして持続させる健やかさ。その両方が必要です。結局、会社が存在する意味って「他社と違う価値を出すこと」なので。そこをブレずにやり続けたいですね。
一緒に働く現在の仲間・未来の仲間たちへ
──最後に、一緒に働く仲間・未来の仲間になる方へメッセージをお願いします。
この会社は、本当にフェアです。良くも悪くも、やった分だけ返ってくる。だからこそ、「主体的にやりたい人」にとっては、めちゃくちゃ面白い環境だと思います。逆に、受け身のままだと厳しい。
ただひとつ言えるのは、ここには「変われる環境」があるということです。僕自身がそうだったように、最初は何もできなくてもいい。でも、「変わりたい」と思って行動できる人には、間違いなくチャンスがあります。その中で一緒に、次のフェーズをつくっていける人と出会えたらうれしいですね。